糖尿病の治療

糖尿病の治療において重要な事

糖尿病の治療には、食事療法運動療法薬物治療3つがあります。
糖尿病は完治するわけではないため、うまく血糖コントロールを行って合併症を予防することで、日常生活に支障が出ないようにしていくことが重要です。そのため、正しい治療を行い、健常者と変わらない人生を送れるようにします。制限の厳しい食事療法や運動療法を行ってしまうと、継続することが難しくなってしまいます。糖尿病の治療で重要なのは継続することなので、無理のない治療方法を行うことが重要です。また、特に症状がなくても定期的に通院するようにしましょう。

血糖管理の原理原則

  • 高血糖状態を改善する
  • 治療過程で低血糖を絶対に起こさないようにする
  • 血糖値スパイクを改善する

糖尿病の治療のためには、以上の原理を把握しておくことが大切です。
HbA1c 12%の患者様なら①→②→③の順番で治療を行います。HbA1c 7.5%の患者様なら②→③の順番で治療を行い、HbA1c 6.8%の患者様ならを中心にした治療を行います。

糖尿病治療の目標値

糖尿病の治療は、患者様それぞれに合わせた目標値を設定することが重要です。具体的には、年齢、性別、体格、既往症、どの程度動けるのか、常用している薬剤、家族関係、認知度などを把握し、適切な血糖コントロールを行います。本来は正常値に戻すことが重要ではありますが、あえて目標値を設定するならHbA1c7%未満となります。

HbA1cを下げる効果

HbA1cが7%以上になると、合併症を引き起こすリスクが増加します。糖尿病にとって血糖値を下げるということは重要であり、HbA1c1%落とすごとに合併症のリスクがそれだけ下がります。特に命に関わる重篤な合併症が多い糖尿病は、リスクを下げることは大切です。

低血糖を起こさない

血糖値は単に下げればいいというだけではなく、低血糖を起こさないようにすることも大切です。薬を使って血糖値を下げることはできても、強い薬を使いすぎると低血糖を起こし、心臓に負担がかかってしまいます。そのため、目標を決めて血糖値を下げることは重要ですが、低血糖を起こさないように注意しなければなりません。低血糖の症状は、軽度であれば出ないことも多いため、当院では持続血糖測定器を使用することで、低血糖を起こさないように配慮しています。

低血糖症

食事療法について

糖尿病の患者様の基本的な治療方法は、食事療法です。血糖値の上昇を防ぐためには、食事として体内に入ってくるブドウ糖を制限することが重要だからです。2型糖尿病の場合は食事制限が効果的ですが、1型糖尿病の場合はバランスの取れたきちんとした食事をとることが重要になります。特に子供の場合は、成長のためにも食事制限はしない方が良いでしょう。ただし、1型糖尿病であっても食事で血糖値は上昇するため、適切な量のインスリン注射を行う必要があります。
また、2型糖尿病であっても太っている患者様は食事制限が必要ですが、痩せている患者様は食事制限が必要ありません。

糖尿病専門医がお勧めする
食事療法

運動療法について

糖は体を動かすためのエネルギーとなるため、運動を行うことで血液中の余分な糖を消費することができます。また、運動をすることでインスリンの働きを良くすることもできます。その他、運動の効果は以下の通りです。

  • 高齢者の方は転倒リスク・骨折リスク改善
  • 運動不足の解消による肥満防止
  • 心肺機能の維持・改善
  • 血管機能の改善による合併症の発症・進行予防

糖尿病専門医が解説する
運動療法

運動療法の注意点

低血糖

血糖値は高すぎても低すぎても良くありません。そのため、低血糖にならないために予防することも重要です。また、万が一低血糖になってしまったときのために、対処法を把握しておきましょう。

合併症の把握

糖尿病は合併症を起こしやすい疾患であるため、合併症の種類によっては運動をしない方が良いこともあります。運動をする前に、お気軽に医師にご相談ください。

内服薬による治療

糖尿病は運動療法と食事療法で治療をすることが一般的ですが、合併症を起こさないために薬物療法を併用することもあります。糖尿病の薬に関しては、近年新薬が次々と発表されていることから、患者様の年齢や体質に合わせて選ぶことができます。

インスリンは安全なの?

インスリン注射の適応となるのは、下記に該当する方です。

  • 1型糖尿病
  • 肝機能・腎機能障害があり、薬を服用しにくい方
  • 血糖値が高すぎる薬では改善が見込めない方
  • ステロイドを服用しているが血糖値が高い方
  • 糖尿病合併妊婦や妊娠糖尿病の方で食事療法のみでは血糖コントロールができない方

1型糖尿病の患者様は、インスリン注射がなければ生命維持に支障をきたします。1型糖尿病以外の患者様なら、数値が良ければインスリン注射を行わなくても問題ない場合もあります。早期発見ができて治療開始が早ければ、それだけインスリンでの治療期間も短くできます。インスリン治療期間がわずか3ヶ月程度の患者様もいるほどです。
また、インスリン注射の針はかなり細くなっているため、せいぜい「チクっ」とするレベルであって、大して痛みがないのもポイントの一つです。また、インスリン注射は適切な量をきちんとした知識のもとに注射することによって、安全に血糖コントロールを行うことができます。特にインスリン注射の微調整が必要なのは、腎機能が低下していて飲み薬では低血糖を起こす危険がある患者様です。その他、インスリン注射には副作用がほぼないのも魅力です。内服薬の場合は、吐き気や便秘といった副作用が出ることも珍しくありません。

インスリン注射以外の注射

近年糖尿病に関する新薬が増えてきていて、GLP-1という低血糖が起きにくく、且つ体重が落ちやすい注射も出てきています。低血糖を起こさないという点だけでなく、週に1回の注射製剤もあるため、多くの糖尿病患者に処方されています。また、体重が落ちるのは食欲を抑制する効能があるからです。

高齢者の糖尿病治療のポイント

恒例の患者様であっても、糖尿病の治療は食事療法運動療法が中心になることは変わりありません。しかし、高齢者は身体的にも無理をするべきではなく、特に食事を制限することで筋力や免疫力が落ちてしまう可能性があります。骨粗しょう症になってしまうことも考えられるため、肥満傾向でない限りお勧めしません。糖尿病を患っている高齢者の健康寿命を延ばすためには、食事制限ではなく運動療法に力を入れることが重要です。
食事管理で上がった血糖値は、適切な運動をすることと薬によってうまくコントロールできます。糖尿病は血糖コントロールが重要ですが、特に加齢によって身体機能が低下してしまうと低血糖を招きやすいため注意が必要です。血糖をうまくコントロールするためには、患者様の年齢だけでなく、全身の状態や糖尿病の治療期間、合併症があるかないかなども加味する必要があります。また、内服薬を飲んでいる場合は、糖尿病薬との影響を考慮しなくてはなりません。