糖尿病の検査

糖尿病の診断基準

HbA1cの正常値は4%5.5%となっているため、6.5%を超えることで糖尿病として診断されます。とはいえ、血糖値やHbA1cの数値は正確性に欠けることもあり、例えば貧血などの疾患がある場合には数値が変化してしまう場合もあります。そのため、複雑な診断チャートを読み取る必要があり、一般内科の医師でも診断が難しいと言えるでしょう。
随時血糖値、75gOGTT値、HbA1c、空腹時血糖値の全てではなくても、どれか1つでも基準値を超えてしまっている場合は、「糖尿病型」と診断されます。随時血糖値、75gOGTT値、空腹時血糖値の3つのうちのどれか1つとHbA1c値の2つの数値が糖尿病型である場合は糖尿病と診断されます。口の中がよく渇く、水分摂取量が多すぎる、おしっこの量が多すぎる、もしくは体重が短期間で驚くほど減ってしまったなどといった糖尿病にありがちな症状が出ているときには、1回検査をしただけで糖尿病と診断されることもあります。その他、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症が出ている場合も同じです。また、例えHbA1cの数値が正常な範囲内であり、糖尿病型ではなくても、血糖値の値が正常の範囲を超えて糖尿病型と判断されたなら、後日再検査が必要になります。再検査時に血糖値が正常範囲を超えていれば、糖尿病と判断されます。数値的に糖尿病型と判断される材料がHbA1cのみであれば、血糖検査などの再検査をしなければなりません。

糖尿病診断のフローチャート

血糖値の検査

糖尿病と診断するためには、1つの検査結果だけではいけません。確定診断のためには、HbA1c値や空腹時や食後の血糖値などを組み合わせる必要があります。

糖尿病の検査

空腹時血糖

インスリンの働きや治療の目安となる数値で、朝食前に測定した血糖値です。
【診断の値】糖尿病型:126mg/dL以上、正常:110mg/dL未満

随時血糖

食事により上昇する血糖値を把握する目安で、食事時間とは無関係に測定した血糖値です。
【診断の値】糖尿病型:200mg/dL以上

75gブドウ糖負荷試験

空腹時に75gのブドウ糖を飲んで頂き、30分後、1時間後、2時間後、それぞれの時間で採血を実施し、血糖値を測ります。
【診断の値】糖尿病型:200mg/dL以上、正常:140mg/dL未満

健康診断において一般的なのは、空腹時血糖値の数値です。糖尿病になった当初の特徴としては、食後の血糖値上昇が挙げられます。そのため、健康診断にあるような空腹時血糖値のみに目を向けていると、糖尿病であることを見逃してしまう場合もあるでしょう。HbA1cの数値は12ヶ月の間の血糖値が反映されているため、食後の血糖値と併せて検査することによって、糖尿病かどうかを正確に判断することが可能となります。食後に高血糖となっている方は、糖尿病や動脈硬化になるリスクが高いことが分かっています。

血糖値以外の検査

HbA1c

1~2ヶ月の血糖値の変動を反映したもので、血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。糖尿病は6.5%以上、正常は45.5%です。

GA(グリコアルブミン)

1~2週間の血糖値の変動を反映したもので、血液中のアルブミンとブドウ糖が結合したものです。糖尿病は16.5%以上、正常は1216.5%です。

1.5AG(1.5アンヒドログルシトール)

血糖値が高くなり尿糖となりおしっこによって体外排泄されると、1.5AGは低下します。過去数日間の血糖値の変動を反映します。糖尿病は15μg/mL以下、正常は1545μg/mLです。

尿検査

尿検査で、尿に含まれる糖分を確認できます。通常尿の中に糖は含まれませんが、血糖値が180mg/dL以上になってしまうと尿の中に糖分が混じってきてしまいます。ただし、軽症の場合はそこまで血糖値が高くなることはなく、尿検査では見逃される場合が多いです。

糖尿病の治療をする上で定期的に必要となる検査

血糖値が高いまま放置してしまうと体全体の血管に障害が起こり、多くの合併症を引き起こすことになります。しかし、糖尿尿病になったとはいえ、初期は自覚できる異常が特にないため、気づくことができないまま進行していた、という方も多くいます。そのため、闘病病と診断された時点でどの程度合併症の症状が出ているのかを把握しておくことが重要です。また、定期的に検査をすることで、どの程度合併症を抑えることができるのかという点も確認しておきましょう。

心電図、心エコー、運動負荷試験

糖尿病の合併症は、命に関わるものが多いですが、その中でも特に危険な合併症の一つに心筋梗塞があります。糖尿病の患者様が心筋梗塞を起こすことは多く、実際に心筋梗塞を起こしている患者様のうち、60%程度は糖尿病を患っています。そのため、糖尿病を発症した患者様は、血糖管理と併せて心臓病の予防をすることが大切です。

心電図

心臓の異常を発見することができる検査が心電図です。心臓の動きを電気信号に変えて測定できるため、通常一定のリズムを刻んでいる心臓に乱れが生じることで、心電図にも異常が出ます。高血圧や不整脈、狭心症などといった疾患があれば、心電図で把握することが可能です。そのため、心臓疾患のスクリーニングだけでなく、心臓の疾患を抱えている患者様の経過観察もできます。

心エコー検査

超音波を用いることで心臓の状態を画像として見ることができるのが心エコー検査です。心臓がどのくらい弱っているか、動きがどのくらい悪くなっているかなどを映像で確認することができます。動きだけでなく心臓の壁の厚さや大きさも分かることが特徴で、10分程度で終了する検査です。ゼリーを塗るだけなので、特に痛みも感じません。

運動負荷試験

運動負荷試験は、運動をしながら心電図を取るという検査です。心臓の血管が細くなっていないか、血流不足になっていないかなどといったことを確認できます。具体的には、脈拍や不整脈、血圧などを見ることができます。糖尿病になる患者様の多くは心臓病を患っていて、特に心筋梗塞になる方の56割は糖尿病を患っています。そのため、定期的に運動負荷試験を行って心臓病が隠れていないかを確認しておくことが大切です。「症状が何もないから大丈夫」ということはなく、糖尿病の場合は症状が出にくい点が特徴といえるため、定期的な検査で心臓発作の予防をしましょう。

ABI・頸動脈エコー検査

ABI・頸動脈エコー検査は、動脈硬化の状態を知ることができる検査であり、糖尿病によって血管がどの程度傷んでいるのかを確認できます。

ABI検査

ABI検査は、両手の上腕、両足首の血圧を測ることができる検査で、一般的に足首よりも上腕の血圧が高い数値が出るものです。しかし、動脈硬化を患っていると、足首の血圧が低くなってしまうため、ABI検査をすることでどの程度血管が詰まっているのかを推定することができます。

頸動脈エコー検査

頸動脈エコー検査は、動脈硬化の進行状況を推定することができる検査で、主に頸動脈の異常を確認することができます。動脈硬化は、患者様が感じ取れる体の異常がないまま進行してしまう疾患です。糖尿病に加えて高血圧、脂質異常症が併発している場合は、自覚できる症状がなくても1年に1度、定期的な検査をすることをお勧めします。

腹部エコー検査・便潜血検査

糖尿病を発症している患者様は、潜在的に非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といった慢性肝炎を併発している可能性が高いです。ただし、NASHを発症していても肝機能異常が示されないため、気がつくと肝硬変や肝臓がんに進行していた、という患者様も多くおられます。しかし、腹部エコー検査・便潜血検査をすることで脂肪肝や慢性肝障害を確認することができるため、自覚症状がなくても定期的な検査をお勧めします。また、肝臓がん以外にも腹部エコー検査をすることで大腸がん、膵臓がんなどを発見することもできるため、特に発症リスクが高い糖尿病の患者様は検査を行いましょう。

CT検査

患者様によっては、腹部エコー検査では臓器や血管の状況が見えづらい場合も考えられます。そういった場合に有効な検査がCT検査です。CT検査とはレントゲンを使うことで、体の断面図を撮影することができます。そのため、胸部、肝臓、腎臓、大動脈、気管支、肺、心臓といった重要な臓器の詳細な画像を見ることができます。