ED(勃起(ぼっき)障害)とは
性交、射精、性欲、勃起、オーガズムのどれか1つでも不十分であれば、性機能障害と診断されます。その中でも、勃起が不十分である、もしくは不可能であればED(勃起障害)や勃起不全と呼ばれます。EDは勃起障害の英語「Erectile Dysfunction」を略したものになります。
EDになると、性交が難しくなります。なぜなら、性交できるだけの十分な勃起ができないからです。あるいは、勃起が維持できずに性交が満足に行えない状態のことを言います。EDの原因として考えられるのは、事故やケガの後遺症、ストレス、生活習慣の乱れなどが考えられます。
糖尿病によって起こるED
血管性ED
陰茎海綿体や内陰部動脈などの血管内皮機能障害は、糖尿病の初期でも起こります。勃起を維持するために重要なのは、血管内皮由来のNO(一酸化窒素)です。NOの生産が低下する原因は血管内皮障害という疾患であることが考えられます。NOの生産が低下することで陰茎に血液を貯められず、結果として勃起ができないという状態に陥ります。
糖尿病と診断された方は、陰茎血流の低下から血管性ED(動脈性ED)になることがあります。
治療
EDが血管性である場合は、内服薬で治る可能性があります。特にPDE5阻害薬がよく効き、80%程度効果が出ます。ただし、糖尿病が重症化している方であれば、NOが乏しいこともあってPDE5阻害薬の効きは良くなく、20~30%程度しか効果を発揮できません。
PDE5阻害薬が無効となる場合が多くあるため、そういった時にはテストステロンエナント酸エステル125~250㎎を1/2~4週で筋肉注射として投与することがあります。また、総テストステロン値が300ng/ml以下でPDE5阻害薬が無効となってしまっているなら、有効な手段です。
神経性ED
糖尿病が重症化してくると、小さな血管の障害だけでなく、自律神経障害も進行してしまいます。自律神経障害が進むにつれて海綿体神経の障害が発生し、神経性EDとなってしまいます。
治療
糖尿病が重症化した際になったEDは、神経性なだけではないため治療が難しいのが現状です。これは、陰茎海綿体平滑筋の線維化や萎縮なども顕著だからです。陰茎海綿体が委縮しているのであれば、静脈溢流性のEDが発症する確率も高くはないはずです。
経口薬だけでは治りづらいですが、だからといって注射がよく効くというわけでもありません。治療が困難になる要因は、プロスタグランジンE1といった薬剤を注射しても無効になってしまう確率が高いためです。
薬剤性ED
EDの原因は様々ですが、薬の副作用のせいでEDとなってしまう場合も考えられます。特に降圧薬や高コレステロール血症の治療薬はEDが発症しやすいとされています。
糖尿病による射精障害
糖尿病には様々な合併症が発症するリスクがありますが、射精障害もそのうちの1つです。EDは射精障害も含めて全て性機能障害になります。糖尿病の方にはどちらの性機能障害も多い障害です。
射精障害に含まれるのは、一般的には大きく分けて「神経性射精障害」、「逆行性射精障害」、「膣内射精障害(遅漏)」、「早漏」の4つがあります。この中で「逆行性射精障害」が糖尿病に多く見られます。
糖尿病による射精障害の症状
精子が膀胱に逆流するために、精子が少なくなる、または出てこないという現象が起こります。これは、糖尿病によって末梢神経に障害が起こり、一般的に射精時に起こるはずの陰嚢や膀胱頸部の収縮反応がなくなってしまうためです。
性欲の低下も糖尿病が原因の可能性があります
性欲は男性ホルモンであるテストステロンが分泌されて起こるものであり、高血糖になるとテストステロンが少なくなるため、必然的に性欲が低下してしまいます。
その他、心因性の原因もあり、悩みや不安を抱えていると性欲が低下する場合があります。
糖尿病を患っていると、血糖コントロールや合併症についてなどの不安が日々付きまといます。そのため、ストレスを抱えてうつ状態になる方も多くいます。そのような心因的ストレスが、性欲の低下とEDを招きます。
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